かわいいだけじゃない?『PUI PUI モルカー』の”通”な4つの魅力
モルモットが癒し系カー「モルカー」になったストップモーションアニメ『PUIPUI モルカー』が大ブレイクしてから1か月が過ぎました。
2021年の始まりに現れた可愛いモルカーたちの人気はいまも冷めやらず、放送日には1日中ツイッタートレンドに上がる熱狂をキープしています。
第4話の再生数は200万回を突破。第5話「プイプイレーシング」の予告動画は破格の60万再生を達成しました。
モルカーは、なぜここまでファンを魅了しつづけるのでしょうか。
この記事では監督・見里朝希氏のインタビューや公式サイトの情報をとりあげつつ『PUIPUI モルカー』のかわいいだけではない、ちょっと”通”な魅力をご紹介します。
人間は愚か!そんなときはモルカーの愛らしさで中和
『PUIPUI モルカー』視聴者の感想にはしばしば「人間は愚か」「人類は滅ぼすべき」といったものがあります。第1話ではスマホをいじって渋滞を引き起こしたり、4話では路上にゴミをポイ捨てしてモルカーに食べさせたりと、たしかにあの世界の人間は愚かです。愚か極まりない。
過激なファンの感想にも見えますが、このご意見はむしろごもっとも。
そもそもこのアニメは「車にまつわるトラブルをモルカーのかわいさで打破しちゃおう」というテーマがあるのです。
渋滞しても、前のモルモットのお尻を眺めているだけで癒されるし、ちょっとしたトラブルがあってもモフモフして可愛いから許せてしまう?!
『PUIPUI モルカー』公式サイトイントロダクションより
また、放送前におこなわれた監督インタビューでは次のような話もあります。
宇多丸は「モルカーの純粋さに対して、人間のものスゴいリアルなダークサイド」と、その視点にも関心を持った。見里は「人間は欲望とか下心を描いてはいるがモルカーはモルモットらしさを第一に考えているので、~(後略)」
『『PUI PUI モルカー』ブレイク前夜、監督・見里朝希が語った“制作秘話” 「声優はモルモット以外の選択肢がなかった」』より
渋滞、盗難、車内置き去り、ゴミのポイ捨て、とたしかに本作のトラブルは現実でも見かけるものばかり。チクッとする社会風刺をふわふわフェルトなモルカーが中和してくれるわけですね。まるでサウナと水風呂の関係です。
「人間は愚か!」と思うからこそ、それでも健気に寄り添うモルカーの姿に私たち視聴者はホンワカとし、同時に心を打たれるのではないでしょうか。
1日で作れるのは4~5秒。ストップモーションアニメの職人芸に酔いしれよう
『PUIUPI モルカー』は1話あたり2分40秒のショートアニメです。「もっと長く見たい」というファンの声もよく見かけますが、それはさすがに厳しい注文のようです。
私含んで4人のアニメーターで制作をしました。撮影ペース的にはよくて一日5秒とか4秒とかそのぐらいで、ほんとに難しいカットで上手くいかないときとかは一日1秒いくかいかないかっていう感じでしたね。
ツイッターアカウント『PUI PUI モルカー【公式】』より
『PUIPUI モルカー』は人形を少しずつ動かして写真を撮っていくストップモーションアニメですが、1秒のアニメを作るのに24枚の写真が必要とのこと。
つまり1日で100枚近い写真を撮影して、2分40秒の1話が完成するまで単純計算で1か月以上かかることになります。
全12話を作り終えるまでかかった期間はなんと1年半!
視聴者にとっては「わずか」2分40秒でも、制作スタッフにとっては果てしない作業の積み重ねだったのですね。たまには裏方の努力に思いを馳せながら見るのはいかがでしょうか。
見里監督自身が「心が無になってしまうことも多い」と語るストップモーションアニメ。ですがスタッフは無に屈することなく、ファンを飽きさせない随所に職人芸を盛りこんでいます。
「人間が1つのものを集中して見ていられるのが、たった3秒って言われているらしくて、キャラクターに3秒以内に次の動きを入れたり、物語に関しても6秒以内に、次に進むような展開を入れるのを、これまでも意識しながら作ってきた」
『『PUI PUI モルカー』ブレイク前夜、監督・見里朝希が語った“制作秘話” 「声優はモルモット以外の選択肢がなかった」』より
次回のモルカーは「3秒の動き」と「6秒の進展」を意識して見るといいかも?
本当に「PUIPUI♪」と鳴く!モルモットらしさを追求
ところで『PUIUI モルカー』の「PUIPUI」がなにか、気になったことはありませんか?耳を澄ましてみるとモルカーが「PUIUPI♪」と鳴いているのがわかります。
実はこの「PUIUPI♪」って本物のモルモットの鳴き声なんです。これはモルカーの生みの親である見里監督のアイディアとのこと。
「現実世界の車がモルモットになったというコンセプトだったので、モルモットをメインに立てるべきだと考えて、その時点で声優はモルモット以外の選択肢はなかった」
『『PUI PUI モルカー』ブレイク前夜、監督・見里朝希が語った“制作秘話” 「声優はモルモット以外の選択肢がなかった」』より
モルカーに声をあてているモルモットは見里監督が実際に飼っているペットとのこと。本作のコンセプト「もし現実世界の車がモルモットになったら?」も、監督の深いモルモット愛から生まれたのですね。
モルカーのモルモットらしさは声だけではありません。仕草や表情、さらにはフンの形まで現実のモルモットをもとにデザインされています。
視聴者からもそのガチっぷりに驚きの声が。
本当のモルモット好きが全力で表現するモルモットらしい車……それがモルカーです。
「本物のモルモットもこういう動きをするのかな?」と考えながらモルカーの一挙手一投足を見てみると、1度見たお話も違う見方ができておすすめですよ。
レギュラーモルカーは5匹。推しモルカーを見つけてみては?
私たちがまとめて「モルカー」と呼んでいるあの子たち、実は1匹ずつ区別されていて、しかも名前もあることはご存知でしょうか。
たとえば第2話で銀行強盗に遭遇した白いモルカーはシロモといいます。やさしい運転手が大好きでちょっと臆病なモルカーです。
他の話もよく見てみると、炎天下の駐車場が舞台の第3話でシロモは屋根の下で涼んでいるところを事件に巻きこまれています。心優しい運転手が日差しを避けしてくれたと思うと、人間の良心が見えてとても和みますね。
モルカー1匹1匹がもつ個性を知っておくと、さまざまなバックストーリーが想像できてモルカーワールドがさらに広がっていきます。公式サイトに名前とプロフィールが載っているレギュラーモルカーは全部で5匹。本作ではこの5匹が主役を1話ごとに交代していくオムニバス形式をとっています。
先ほど紹介したシロモ以外の4匹は以下のとおりです。
・勇敢でニンジン好きな「ポテト」
・初心者マークが目印の「アビー」
・オシャレでおしとやかな「チョコ」
・食いしん坊のトラブルメーカー「テディ」
ポテトは第1話、アビーは第3話、テディは第4話でそれぞれ主役として活躍しました。気になる人はぜひ見返してみましょう。
5匹のレギュラーの中でピンとくるモルカーがいたら、ぜひその子を追いかけてみてください。推しモルカーを見つけられれば、これからのモルカーライフがさらに楽しくなること間違いなしです。
サメの戦艦も登場?魅力満載のモルカーワールドはまだまだ続く!
1ヵ月が過ぎたいまもブームは冷めるどころかますます過熱していく『PUIUPI モルカー』。最初から追いかけていた人はもちろん、これからモルカーを追いかけたい人もぜひ今回お伝えした4つの魅力を参考にしてみてください。
期間限定のロングPV(現在は未公開)では洗車に挑むモルカーやサメの戦艦などが登場しており、これまでを上回るびくびくわくわく展開がまだまだ待ち受けています。もしかしたら今回ご紹介した4つの魅力をさらに上回る第5、第6の魅力が出てくるかも?
突然の大ブームを巻き起こしたモルカー旋風から、まだまだ目が離せません!